29年7月号
(更新日: 2017年07月29日
          俳句三昧
久保田万太郎は、俳句を「つぶやき」だと言った。わが師・品川良夜は「瞬間を右脳で感取すること」と言った。大先輩の神戸玉石は別に何も言わなかったが、「梨一口齧り香車を打ちおろす」と、すごい句を残してくれた。「俳句とは何か」などと、大それたことは言えないが、嘱目の風景を得ながら、己の心の中を写生し、言葉を紡ぎだすのは快いことだ。多くの先達に学びながら、多くの仲間と、その「俳句する瞬間」を共有していきたい。

佐藤游歩近詠
  兼題 「 夏木立 」  
(まつりごと)吾が事にあらず夏木立  
夏木立放つは己が緑波のみ
  当季雑詠   
夏帽子競ふは鍔の広さかな
炎天下大河黙して流れけり
星涼し蠍座射手座天の川

今月の同人句 (游歩撰)
  兼題  「 夏木立 」  
天辺(てっぺん)を細目で見上げる夏木立 飯田 明
そよ風に話がはずむ夏木立 早猛百子
影法師競い合っている夏木立 鶴田隺夕
大根張り血脈誇る夏木立 関山聡雪
山里や奥へ奥へと夏木立 石原稲女
百々歳を潜る盆栽夏木かな 松永風子
  当季雑詠  
揃い鳴く鳴虫山の蝉時雨 関山聡雪
針穴に思ひ通わぬ梅雨の 松永風子
打ち上がる花火の先に一等星 早猛百子
路地渡る七月の風袖抜けて 鶴田隺夕
首都の海夏雲立ちて気も立ちぬ 飯田 明
炎天下小雀落ちて休みけり 石原稲女