29年10月号
( 2018年02月22日 更新)
          俳句三昧
久保田万太郎は、俳句を「つぶやき」だと言った。わが師・品川良夜は「瞬間を右脳で感取すること」と言った。大先輩の神戸玉石は別に何も言わなかったが、「梨一口齧り香車を打ちおろす」と、すごい句を残してくれた。「俳句とは何か」などと、大それたことは言えないが、嘱目の風景を得ながら、己の心の中を写生し、言葉を紡ぎだすのは快いことだ。多くの先達に学びながら、多くの仲間と、その「俳句する瞬間」を共有していきたい。

佐藤游歩近詠
  兼題 「新蕎麦」  
新蕎麦や事に言寄せ集ふかな  
荒地して美味()れましや走り蕎麦
  当季雑詠   
秋長し小人(にわ)か哲学者
秋刀魚食ふ秋刀魚の許しないままに
秋深し人は秋刀魚に食はれない

今月の同人句 (游歩撰)
  兼題 「新蕎麦」  
新蕎麦を打つGパンの三代目 小池紀代
新蕎麦や格子窓なる老舗かな 石原稲女
新蕎麦や音なく雨に暖簾ゆれ 飯田 明
看板に新蕎麦の文字街暮れて 中澤惠子
音に妙挽く打つ啜る走り蕎麦 松永風子
新蕎麦を供えれば写真笑顔かな 早猛百子
幟立つ店に列出来走り蕎麦 関山聡雪
  当季雑詠  
唐辛子干す空のさみしい頃に干す 松永風子
歩けない友と夜長の長電話 早猛百子
残り蚊の行く先いずこふわふわ 飯田 明
秋時雨手挽き珈琲ほろ苦く 中澤惠子
水滴の地図となる窓雨の秋 関山聡雪
もの言はず降る秋の雨紅きかな 石原稲女
さくら紅葉園児募集の掲示板 小池紀代