29年12月号
( 2018年02月22日 更新)
          俳句三昧
久保田万太郎は、俳句を「つぶやき」だと言った。わが師・品川良夜は「瞬間を右脳で感取すること」と言った。大先輩の神戸玉石は別に何も言わなかったが、「梨一口齧り香車を打ちおろす」と、すごい句を残してくれた。「俳句とは何か」などと、大それたことは言えないが、嘱目の風景を得ながら、己の心の中を写生し、言葉を紡ぎだすのは快いことだ。多くの先達に学びながら、多くの仲間と、その「俳句する瞬間」を共有していきたい。

佐藤游歩近詠
  兼題 「大根」  
煮大根菜箸の穴二つかな  
合口(あひくち)の友いるしあわせ鰤大根
  当季雑詠   
(れき)一枚すがりつく壁十二月
三の酉諺美(ことわざうま)し火の用心
冬ひとり猫の子一匹おりません

今月の同人句 (游歩撰)
  兼題 「大根」  
味噌汁に千切り大根(だいこ)ひとりかな 石原稲女
大根のなます柚子そえ赤小鉢 早猛百子
駅舎から渡し舟まで太鼓畑 小池紀代
掛け大根少しく痩せて順を待つ 飯田 明
旅芸人主役もこなす大根かな 松永風子
大根の一分の(たましひ)辛味かな 鶴田隺夕
若駒の風切る浜や大根干す 中澤惠子
大根を笑顔絶やさず擦りにけり 関山聡雪
  当季雑詠  
いつの間の広き空き地の寒さかな 飯田 明
林檎剝く蜜(ほとばし)る到来物 石原稲女
小気味良くせんべい割れて火要慎 松永風子
大き夢小さき合掌七五三 関山聡雪
おでん買ふ隣の人も昭和人(しょうわびと) 石原稲女
酢味噌あえそっと光るは葱の肌 飯田 明
雪降れば四十七士のうらばな 早猛百子
()(へい)にしがみつきたる蔦紅 中澤惠子
石蕗の花運慶展は休館日 小池紀代
師走には詩人のユーウツ影潜め 鶴田隺夕
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