30年1月号
( 2018年02月22日更新)
          俳句三昧
久保田万太郎は、俳句を「つぶやき」だと言った。わが師・品川良夜は「瞬間を右脳で感取すること」と言った。大先輩の神戸玉石は別に何も言わなかったが、「梨一口齧り香車を打ちおろす」と、すごい句を残してくれた。「俳句とは何か」などと、大それたことは言えないが、嘱目の風景を得ながら、己の心の中を写生し、言葉を紡ぎだすのは快いことだ。多くの先達に学びながら、多くの仲間と、その「俳句する瞬間」を共有していきたい。

佐藤游歩近詠
  兼題 「初湯」  
やはらかき初湯産湯の心地し  
初風呂や身の丈だけの湯船かな
  当季雑詠   
初富士の(まと)ふは己が白さのみ
ひび割れも思ふにまかせぬ鏡餅

今月の同人句 (游歩撰)
  兼題 「初湯」  
羽根の音窓に聞きつつ初湯かな 早猛百子
無事下山四十二度の初湯かな 関山聡雪
戌年を(ひと)巡りして初湯かな 鶴田隺夕
初風呂や小さき頃の順番待ち 石原稲女
孫の手が背中で遊ぶ初湯かな 松永風子
朝早く庄助気取りの初湯かな 早猛百子
新装の(ひな)の旅籠や初湯殿 中澤惠子
初風呂や常連客の勢揃い 小池紀代
  当季雑詠  
初富士や雲の翼の(かたよ)りて 関山聡雪
こちら雪夜更けて(つま)の電話かな 中澤惠子
口角を上げて紅差す初鏡 小池紀代
初夢や母振りかえる微笑して 石原稲女
固唾呑む眼々(まなこまなこ)に初日の出 松永風子
ひと箸のお国自慢の雑煮かな 鶴田隺夕
(あるじ)なく毎日つづく(おんな)正月 早猛百子

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