30年2月号
( 2018年02月22日更新)
          俳句三昧
久保田万太郎は、俳句を「つぶやき」だと言った。わが師・品川良夜は「瞬間を右脳で感取すること」と言った。大先輩の神戸玉石は別に何も言わなかったが、「梨一口齧り香車を打ちおろす」と、すごい句を残してくれた。「俳句とは何か」などと、大それたことは言えないが、嘱目の風景を得ながら、己の心の中を写生し、言葉を紡ぎだすのは快いことだ。多くの先達に学びながら、多くの仲間と、その「俳句する瞬間」を共有していきたい。

佐藤游歩近詠
  兼題 「早春」  
水鳥の羽遊び春は川面から  
春浅し走り竹の子出回りぬ
  当季雑詠   
富士真白この象徴は退位せず
春の鐘(せな)に旅立つ芭蕉かな

今月の同人句 (游歩撰)
  兼題 「早春」  
春浅し首をもたげしクレーン車 中澤惠子
窓いっぱい光やわらかき春は来ぬ 石原稲女
ジーンズの裾少し上げ日脚伸ぶ 鶴田隺夕
春浅し小枝に見入る老女(おふな)かな 松永風子
春立ちて風折れ()は匂ひ立ち 関山聡雪
立春や窓の日射しの笑顔かな 早猛百子
春浅しうどん食せば喉緩む 石川うしゆ
  当季雑詠  
遠山に斑模様の春見ゆる 鶴田隺夕
薄氷(うすらい)()さく残れる裏小路 石原稲女
庭下駄に土(まつ)はりて春来る 松永風子
寒明けや手足が自由に動きけり 石川うしゆ
節分や豆に無聊の(よわい)かな 早猛百子
あたたかさ色それぞれの冬帽子 関山聡雪
冬薔薇に罠を仕掛けし女郎蜘蛛 中澤惠子

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