30年3月号
( 2018年03月19日更新)
          俳句三昧
久保田万太郎は、俳句を「つぶやき」だと言った。わが師・品川良夜は「瞬間を右脳で感取すること」と言った。大先輩の神戸玉石は別に何も言わなかったが、「梨一口齧り香車を打ちおろす」と、すごい句を残してくれた。「俳句とは何か」などと、大それたことは言えないが、嘱目の風景を得ながら、己の心の中を写生し、言葉を紡ぎだすのは快いことだ。多くの先達に学びながら、多くの仲間と、その「俳句する瞬間」を共有していきたい。

佐藤游歩近詠
  兼題 「桃」  
桃咲きて丸く流れる江戸運河  
浮き浮きと川にも(こころ)桃の花
  当季雑詠   
富士隠す薄き春雲不人情
芭蕉庵四十五階は雛の家

今月の同人句 (游歩撰)
  兼題 「桃」  
桃咲くや(なご)みの庭は十坪程 松永風子
箸置きに桃の小枝の祝 早猛百子
桃の日や喜寿を超えても姉妹 小池紀代
通ひ道塀越し桃の(しべ)長し 松永風子
花桃や若先生の診察日 小池紀代
邪気はらふ馥郁たる香桃の花 石原稲女
友来る花見と洒落て桃二輪 鶴田隺夕
山里の部落の家の桃の花 関山聡雪
桃の日や武者も鐘馗もご同伴 中澤惠子

  当季雑詠  
日脚伸ぶ踏み出す明日の不確かさ 鶴田隺夕
餌ねだる子雀の声春の声 石原稲女
崖下の首なし羅漢藪椿 小池紀代
先頭に八十路(やそじ)の健脚春の山 中澤惠子
春雨や新しき傘差しうきうきと 早猛百子
目移りも行き着くところ桜餅 松永風子
景信山芽吹きの彩の帯となり 関山聡雪

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