30年4月号
( 2018年05月22日更新)
          俳句三昧
久保田万太郎は、俳句を「つぶやき」だと言った。わが師・品川良夜は「瞬間を右脳で感取すること」と言った。大先輩の神戸玉石は別に何も言わなかったが、「梨一口齧り香車を打ちおろす」と、すごい句を残してくれた。「俳句とは何か」などと、大それたことは言えないが、嘱目の風景を得ながら、己の心の中を写生し、言葉を紡ぎだすのは快いことだ。多くの先達に学びながら、多くの仲間と、その「俳句する瞬間」を共有していきたい。

佐藤游歩近詠
  兼題 「浅蜊」  
川の無い橋の袂に深川丼  
浅蜊売り江戸古地図から抜け出して
  当季雑詠   
生きるとは他者を食ふこと涅槃(ねはん)西風(にし)
花に風春のやきもち月に雲

今月の同人句 (游歩撰)
  兼題 「浅蜊・蛤」  
はまぐりや太古の味覚口を開け 石原稲女
職人技(やわ)さに味ある煮蛤 松永風子
三年の縞柄競ふ浅蜊かな 鶴田隺夕
酒蒸しのあさりに孫の声はずみ 早猛百子
浅蜊獲り鳥等とともに潮干潟 松永風子
浅蜊生く砂を嚙み噛み潮を吹く 鶴田隺夕

  当季雑詠  
桜海老浜一面に戯れり 鶴田隺夕
富士の夢霞掛かるは誰が悋気 松永風子
春雨や音なき三千(さんぜん)烏鳴 石原稲女
二分咲きの桜に雪の彼岸かな 早猛百子
夏低山登りつめれば全方位 関山聰雪
はまぐりや貴公子然とすまし汁 鶴田隺夕

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