佐藤遊歩句集 2012年
【新年】
雑煮椀お国ことばも出汁となり
未知の時のぞき込みたく新手帳
初御空新参者ありスカイツリー
佳き報せ念じ封切る初便り
【春】
節分会いつもこのころ氷人(こおりびと)
氷空(こおりそら)富士と我とを結晶す
うぐいすを鳴かせし女性(ひと)の句作かな
薄氷(うすらひ)は弱々しげに(したた)かに
したたかに御酒いただいて蜆汁
断雲サヨナラだけが卒業だ
春靄や曖昧模糊も時によし
春燈語り合ふには優しすぎ
春真白今更ながら富士に辞儀
雛一対六畳一間の雅かな
花曇り句友包んで彼岸まで
春の風頬撫でるやう叩くやう
若草を食むものもなき相馬かな
友翔ぶや朗読といふ風船で
白熱す烏賊釣り船は国境線
花曇り句友包んで彼岸まで
春の風頬撫でるやう叩くやう
若草を食むものもなき相馬かな
友翔ぶや朗読といふ風船で
ページトップへ 【夏】
白熱す烏賊釣り船は国境線
子供の日子供のままで老ひにけり
ちまき解き好きな時間に戻るかな
母の日や言いそびれたるありがとう
気の流れ宇宙の息や風薫る
父の日や母より強き無口かな
楚々なるや鈴蘭涼し北大地
雨がえる雨に浸りてぶれもせで
遠雷や音届く間に一思案
虹立ちて光の正体色模様
蓮池や痩せても枯れても読書人
入りあればきつと明けあり梅雨のこと
七夕や星の子孫の願ひごと
途切れ声胎児で聞きし終戦日
新涼や手強き本を取り出す
新涼や手強き本を取り出す
【秋】
新涼や手強き本を取り出し
古事記読む鰯雲にも神在ます
名月と余人介さず縁の先
三鷹行各駅停車秋思かな
菊人形見詰める我が見詰められ
ページトップへ 方丈記閉じて柿剥く不器用に
新米や塩引もいらず菜もいらず
【冬】
大晦日いつものカフェで手帖閉ず
冬雲の覆い被さる存在感
冬用意分厚き本を書棚から
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